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地の果て [NIKON FE]


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 この写真は大千軒岳(1071m)の尾根にある十字架。

 頂上付近は気温も低く霧雨で、ウインドブレーカーだけの自分は
 体がすっかり冷え切ってしまい、いつもの様に膝も限界を超え・・・
 お腹も空いて・・・この十字架に着いた時には雨と汗と涙と鼻水で
 グチョグチョ&ボロボロ。

 写真も濃霧のせいで暗く、上手く撮れなかった。

 どうして、この山の尾根に白い十字架があるかというと・・・
 ここで昔、とても悲しい出来事があったから。

 この話は転勤で函館に来てから知った訳で、
 この山に登ることが無かったら、知らないままだったかもしれない。




  (※ここから福島町役場HPから引用しています。)

 蝦夷(北海道)は日本のキリシタンにとって逃亡の地の果てで
 あった。これらのキリシタンが徳川幕府の迫害をさけて東北、
 蝦夷地へと移動しはじめたのは、1612年頃のことである。
 
 幕府はキリシタン禁教令を発し、京都の教会堂を破壊し、
 二年後の1614年には一層大がかりな追放が始まった。
 再び全国に禁教令を出し、教会を焼きイエズス宣言教師をマカオに
 追放、また日本人信徒400余人がマニラ、マカオへと送られた。
 その中にはキリシタン大名として有名な高山右近などもいた。
 その後も幕府のキリシタン弾圧、火刑や斬首などがくりひろげられ、
 信徒は比較的取締りのゆるい東北へと移動しはじめた。
 「蝦夷地は迫害がなくて働きやすい」という話が、キリシタンの
 間で広がり佐竹藩(秋田)や津軽藩での弾圧が厳しくなるにつれて、
 彼らは少しずつ蝦夷地へと渡りはじめた。
 
 ほとんどの信徒は、一種の”治外法権”地帯だった鉱山へと入り
 込んでいき、北の地で敬虔な祈りをささげながら、砂金堀りの
 労働者となっていた。キリシタンの金堀人たちは、もちろん
 講的な結びつき(信仰共同体)の強いことは変わりがなかった。
 生と死を共にするという無言の盟約が、やがて後に述べる
 千軒金山の大惨劇となってあらわれるのである。

 1618年から1622年の間、シシリア島(ナポリ王国)の
 アンジェリス神父が2回、ポルトガルのカルワーニュ神父が2回、
 蝦夷の信徒たちを訪れた。
 アンジェリス神父は商人に変装して関所をこえたが、
 カルワーニュ神父はそのために必要な商品を持ち合わせ
 なかったので鉱夫に変装し、金堀のグループに加えてもらい、
 厳しい個人的な検査をさけて蝦夷地に渡った。蝦夷キリシタン
 たちの慰問はもとより、アイヌ人布教の可能性をさぐること、
 地理を調査して蝦夷からシナへの北方ルートを探るためであった。
 信者たちはわざわざ日本本土を離れて彼らに会いにきたのを知って、
 歓喜のあまりに涙を流して神父を迎えた。
 その後、アンジェリス神父は1623年に江戸で火攻めにより、
 カルワーニュ神父は1624年に仙台で氷攻めにより、息絶えた。
 蝦夷キリシタンにとって忘れることのできない二人の神父が、
 再び海峡を越えることはなくなった。

 1637年、島原の乱が起きた。この反乱は、幕府の鎖国と
 キリシタン弾圧の徹底化に決定的な役割をしたと言うことが
 できる。松前藩主は、これまで幕府への報告には「領内には
 キリシタンはなし」としていたが、それではすまなくなった。

 1639年の夏。松前藩主公広は、数名の役人に、300名の兵士を
 つけて千軒岳周辺へと捜索に向かわせた。まず大沢で男女50人の
 キリシタンが処刑され、その後西部の石崎村に逃げていた6人が
 処刑された。さらに千軒金山へ追手が迫った。50人のキリシタンが
 礼拝堂に集まった。いまこそマルチリ(殉教)のときであった。
 山のキリシタン衆は、礼拝堂から運びだした十字架の前にひざまずいた。
 祈りの声が一つ一つ消えていった。兵士たちの前で音をたてて首が落ちた。
 千軒岳で殉教した106人のキリシタンは、その生涯も、出身地も、
 はっきりとわからない・・・。
 
 1959年(昭和34年)から7月になると巡礼が行われるようになった。
 函館カトリック教徒たちによって現在もこの巡礼は続き、
 ミサの聖歌が夏山にひびいているのである。
 また、1961年(昭和36年)には、これまでの粗末な木の枝の
 十字架にかえて、大きな木の十字架が藩所跡に立てられた。
 
 エゾキリシタン106名の殉教は、こうして永遠に追憶されることに
 なったのである。



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